支援学校14年、中学校教員26年。大阪市教育委員会6年、大阪市立中学校の教頭5年・校長9年。大阪府市校長会役員歴任。
生徒指導中心の経験の中で、問題行動を起こす生徒との関わりが多かった。
結果には原因があって、原因が分からなければ課題解決に至らない。原因究明や解決はとても一人の教員の力ではできないことを痛感した。一人で百歩歩いても、百人の一歩にかなわない。
子ども一人ひとりはしんどさや困難さを抱えていて、家庭の問題や社会的な問題は原因が分かってしても、手も足も出せないことも多くある。でも、それを知ることで、子どもたちとそのしんどさや困難さは共有できる。結果を叱る・是正することだけに終始しても、子どもたちの心には響かない。してはいけない・しない方がよいことは百も承知しているけれど、そうせざるを得ない自分の弱さも知っている。そんな子どもたちと一緒に過ごす時間は、互いの理解と信頼(と言っても尊敬とか偉い人)というのではなく)を作る。「あいつが言うから聞いてやる・あいつが困るから辞めておく」ことが、非行と問題行動の抑止力になることを経験してきた。
今、生きずらく困っている子どもたちや人たちの支援・その保護者の支援をしたいと思って、一般社団法人クレアを立ち上げて、中村・木下と妻と4人で小さな教室「ハートクレア」で、6人の子どもたちを支援している。
皆、それぞれの「生きずらさしんどさ」を抱えて、学校に行けない・引きこもる状態だった。最初はアウトリーチ(家庭訪問)が中心で、雑談やゲームをしながら一緒の時間を過ごす。携帯電話のゲームに夢中で視線を向けてくれなかったり、何を話しても生返事しか返ってこなかったけれど、少しずつ準備した「なぞなぞ」や「クイズ」に目を向け、雑談の中で自分を語ってくれる。一人は全く興味をなくして関わりが持てない。他の5人は、アウトリーチから桃谷のハートクレアの教室に来室する。
子どもたちの話と思いが明日の教材。勉強することが目的ではなく、関わりのツールと思う。勉強を通じたかかわりの中で、自分の思いややりたいことを見つけて、それをできる環境・状況をつくる。難しいけれど、それを引き出すことが今できる支援だと思っている。
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